金沢マヤシンポジウム 第2回 開催決定

昨年に引き続き、古代メソアメリカの研究会を開催します。

コパン王朝創始期の考古学的研究、理化学分析による年代研究、歯牙装飾を素材とする生物考古学、文化財保護・活用にかかるパブリック考古学など多岐にわたる分野の発表に加え、大学院生の発表を企画しました。

発表者・参加者との議論を通じて、国際文化資源学の今後を考えます。

 

参加費無料、事前申込不要。

 

題目:金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センター 中米ユニット研究会

(金沢マヤシンポジウム 第2回)

日時:2017年11月15日(水) 10時から17時(予定)

会場:京都文化博物館別館2階講義室(〒604-8183 京都市中京区三条高倉)

内容:

1.発表者:市川彰
発表題目:放射性炭素年代測定データからみたメソアメリカ南東部の社会過程:チャルチュアパを中心に
発表要旨:放射性炭素年代測定の技術発展が進み、少量の試料で、安価かつ迅速に絶対年代データが得られるようになった。これを受け各地域の編年および社会過程の再考が進んでいる。本発表では、メソアメリカ南東部の指標編年のひとつであるチャルチュアパ遺跡とその周辺遺跡で蓄積された放射性炭素年代測定データを精査し、メソアメリカ南東部の社会過程を再検討する。


2.発表者:村野正景
発表題目:エルサルバドル考古学の課題と挑戦 〜「第一世代考古学者」の提案から〜
発表要旨:学術と現代社会とのより良い関係構築は、世界的な案件である。これについて本発表では、エルサルバドル考古学の事例を取り上げ、いまどんな課題があり、どんな挑戦をしようとしているかを検討する。同国では、国内での考古学者の育成が進められ、2000年に初の卒業生がでた。その世代は「第一世代」と呼称され、同国考古学を牽引する。そこで彼らの言説や提案から同国での問題意識や方向性を把握し、具体的な実践のあり方を考えたい。

 

3.共同発表著者鈴木真太郎、Vera Tiesler、Andrea Sandoval、Héctor Mejía

 発表題目:古代メソアメリカにおける埋め込み式歯牙装飾の起源について:グアテマラ共和国エスクイントラ県、レイノサ遺跡からの考察

 発表要旨:前歯列に翡翠等の輝石を埋め込む様式の歯牙装飾は、メソアメリカ古代文明を代表する文化的肉体変工の一環である。マヤ文明圏、特に古典期において、最盛期を迎えると言われているが、その「起源」ともいうべき先古典期における報告は極めて少ない。このような状況下、本発表ではレイノサ遺跡出土の新たな事例を紹介する。放射性炭素の測定により、同考古人骨群の時系列が先古典期前中期(紀元前1000年〜800年頃)まで遡ることが既に判明しており、黄鉄鉱を埋め込んだ本事例は、メソアメリカ全域において現在知られているおそらく「最古」のケースである。

 

4.発表者:中村誠一

発表題目:コパン王朝創始期の再検討-コパン考古学プロジェクトPROARCOの新発見と新解釈-

発表要旨:マヤ王朝史の中でも一番解明されていると言われるコパン王朝史。しかし、よく検証すると紀元426/427年の王朝創始期前後から紀元後550年前後の時期まで不明な点がたいへん多い。2016年に7年ぶりに再開されたPROARCOは、この謎の時期に関する数多くの重要な発見を行いつつあり、17年前に発見され当時は6世紀半ばの人物であるとされた10J-45「王墓」の被葬者が、実は王朝創始期の人物であった可能性を追求している。

 

連絡先:

研究会内容について:

金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センター

中村誠一

sntikal*staff.kanazawa-u.ac.jp(*は@を挿入)

 

会場について:

京都文化博物館

村野正景

m-murano*bunpaku.or.jp(*は@を挿入)